トコジラミ(床虱)
トコジラミ(学名:Cimex lectularius)は、数千年にわたりヒトの血液を吸うことに特化して進化した、翅(はね)を持たない寄生昆虫です。この夜行性の害虫は、マットレス、ベッドフレーム、布製家具などの極めてわずかな隙間に潜伏し、宿主が静止している就寝中にのみ姿を現して吸血することで知られています。赤褐色で扁平な体は、クレジットカードほどの薄い隙間も通り抜けることができ、専門的な昆虫学的知識なしに発見し駆除することは非常に困難です。
トコジラミが直接病原体を媒介することは現在のところ確認されていませんが、その存在は深刻な精神的苦痛、激しい睡眠障害、そしてアレルギー反応を引き起こします。1匹のメスが一生の間に数百個の卵を産むため、わずか数週間で深刻な大量発生を招く恐れがあります。近年のトコジラミは、市販のピレスロイド系殺虫剤に対して強い抵抗性を持つ個体群(スーパートコジラミ)が広がっているため、完全な駆除には専門家による加熱処理や高度な薬剤ローテーションが不可欠です。